夕方にホワイトカレーを丁寧に作りながら、宅配便を待っていた。下準備は朝からしておいたので、だいぶラクだ。モッツァレラとトマトのサラダをこしらえる余裕もあった。宅配便が来た頃、ちょうどご飯も炊けていて、さて食べよう。包丁、まな板を、洗おう。
カレーでだいぶお腹をほっこりさせて、近所の川に散歩しにいく。
秋の匂いをかげると思ったのだけれど、ただよくある住宅街のかおりがするだけだった。一週間前は、同じ川であの秋の匂いがした。ドキッとした。いろいろな匂いが混じり合って、あれは身体全身の感覚をゆらす。でも今は、全然だ。この世界では、同じ行動をしても、いつも同じことが体験できるというわけじゃない。
……。……。この世界?
川を眺めながら、今の自分は真剣に何が欲しいのだろう、何を求めているのだろうと考えた。欲っするもの、それは“移動するもの”そのものかもしれない。移動する? 移動。いつも一定のところにはいない。動きは見えても、形も薄らとしている。
難しい。疲れているから、笑えてくる。僕は純粋では無いのかもな、と思った。
でも大事なことは、不確かだとしても、まだ信じることができるものの渦中にいることだ。たぶん。
川は流れている。
暗くなった郵便局の前を通りがかる。ジャージ姿の高校生カップルがイチャツキあっている。どんな年齢の男女にも、夜の別れ際には、まぶしい物語がにじんでいる。
昨日観た映画の影響は、今日にはもう残っていない。
でも、気にしてないさ。そうさ、そうさ。イエス、イエス。バット、アイドンケア。
僕は森に入り、枯れ葉の上に座って、ハニーパイを食べた。もうすこしハチミツたっぷりがいいのだけれど、我慢はできる。
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